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春の草花図友禅訪問着
村田道宣作

1月に入ってまだまだ寒い季節を迎えるこの時期ではありますが、春のご入学やご卒業、また結婚式などのフォーマルのお席のご予定がおありの方も多く見受けられますので、これからの季節にお召しいただきたい訪問着、附下などを何点かご紹介させていただきたいと思います。
こちらは女郎花色の地に土筆、蕨、ぜんまい、たんぽぽ、すみれ、一輪草、カタクリなど、描ききれないくらいたくさんの種類の初春から芽吹き咲き始める草花を、栗色と焦茶色系の濃淡の色使いで友禅で描いた訪問着のお着物です。
地面になる部分にほのかに暈しで染められた黄唐茶色が、模様全体を遠近感のあるものとしているようです。
春のモチーフのものを題材にした作品としては、茶系の濃淡で、さらにシルエットの様に描いているものは比較的珍しいと思われます。
お花の部分だけが鶸色と白で表現されているのが、まるでそこにスポットライトが当たっているように見え、お召しいただきますとその部分が際立って華やかで、作者の意図がとても効果的に現れているように感じられます。
全体の色使いがとても上品で、これだけの種類の草花が盛り込まれ、豪華であってもうるささはなく、大変すっきりと綺麗にまとまっていてお洒落な個性が光ります。
友禅だけでこれほどのボリューム感がある事も目を引き、お花もひとつひとつを目で追うと「ここにもタンポポが、あらここにはスミレが」と楽しくなります。
季節的に、白系の袋帯を合わされて明るい色の小物でまとめられると素敵です。
高級感がありながら好感度も高く、これからの季節に最適な大変おすすめのフォーマルのお着物です。
未着用品。
女郎花色は「#f2f2b0　WEB色見本　原色大辞典」を、
黄唐茶色は「#b28e53　WEB色見本　原色大辞典」を、
栗色は「#4c1e04　WEB色見本　原色大辞典」を、
焦茶色は「#4c2b1e　WEB色見本　原色大辞典」を、
鶸色は「#d7cf3a　WEB色見本　原色大辞典」をご参照下さい。
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