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「カタクリの花」鎌倉友禅訪問着・名古屋帯
日本工芸会正会員　坂井教人作

早いところでは3月の中旬から4月の中旬まで各地の名所で咲き、春の訪れを告げる花として古くから愛される「カタクリの花」を、坂井教人氏ならではの独特の洗練されたデザインと色使いの細やかな友禅で描かれた訪問着の作品です。
透明感のある藍色がかった薄紫・藤鼠色の地に群生するカタクリの花が活き活きと描かれ、お花は青紫の濃淡で色付けされて、葉は緑味のある薄縹色で染められています。
お花の中心のめしべと葉にのった露には銀彩が施され、より瑞々しさを感じられるようです。
また今回は偶然同じ時期に同じカタクリの花を題材にした名古屋帯が入荷いたしました。
地金通しのような帯地が桑染色に染められ、ひたむきに咲くカタクリの花が繊細な色使いの友禅で描かれた名古屋帯です。
訪問着の作品に描かれたような群生する花の風景の一部を切り取ったような図案ですが、この図案を見ているだけでも早い春の山里の空気感が十分伝わってきます。
優しい色使いの中にも春の芽吹きの活き活きとした力が感じられ、元気がもらえそうです。
程良い光沢でやわらかい素材のお着物とも相性が良さそうですし、紬類とも綺麗に合いそうです。
その昔はカタクリの花は奥山に静かに咲く花として歌に詠まれるなど、知る人ぞ知るものであったようですが、約30年前からの山野草ブームで全国的にも有名になったようです。
乱獲にあった時期もあるようですが、現在では群生する地域はきちんと管理されていて、時期に合わせて訪れますとその可憐なお花を鑑賞する事ができるようです。
水芭蕉やカタクリなど、自然の中で人知れず咲くお花を見事に描かれ、着る人の品性をより高めてくれるような坂井教人氏の素晴らしい作品は個人的にも大ファンです。
目にすると清らかという言葉が素直に口から出るような、素敵なおすすめの逸品です。
春の陽ざしの中、是非季節の1ページを着こなして楽しくお出かけください。
未着用品。
藤鼠色は「#a6a5c4　WEB色見本　和色大辞典」を、
青紫色は「#3c1f66　WEB色見本　原色大辞典」を、
薄縹色（うすはなだいろ）は「#416c82　WEB色見本　原色大辞典」を、
桑染色は「#b79b5b　WEB色見本　和色大辞典」をご参照下さい。