【商品説明】
今回の『初秋のよそほひ展』では、秋に向けた単衣のお洒落な木綿や紬のお着物と、そういったお着物にもお合わせいただける少し趣味性のある名古屋帯も何点か順番にご紹介させ ていただきたいと思っています。
こちらは私もいつかは一枚手に入れたいと思っていながら、今までなかなか出合う機会がなく、今回の『初秋のよそほひ展』にご紹介できる事がとても嬉しく思えるもののひとつです。
古来よりこの技法は行われていたようですが、他の多くの染織品と同じく気の遠くなるような時間と技術とを要するため作られなくなっていったそうです。
まず紙子をつくるには、手漉きの和紙を何度も何度も木の棒に巻いてぎゅうっとプリーツのようなしわをつけて広げ、次は直角の方向に巻くという作業を繰り返します。
それを繰り返していきますと、紙とは思えないようなしなやかさと強さが生まれ、なめし皮のような質感になります。
修行僧の人たちはその紙子で作った衣を着て極寒の中でも修行を続けられたそうですので、その耐久性と通気性、そして保温性には優れたものがあるようです。
こちらはその紙子を黒に染め、2mm程の幅に切って撚りをかけたものを糸にして織られたお着物です。
和紙は京都の黒谷さんのものだそうで、そちらでこの大変な作業を行って復元をされたと説明書きに記してあります。
身に纏いますと、初体験の質感が興味深く感じられます。軽くしなやかでお召しいただきやすい事がわかります。
木綿とも麻とも絹とも違うしっとりとした素材は、さらに黒である事によって光を吸収するため不思議なニュアンスのある無地となります。
先日ご紹介させていただいた柿渋の無地のお着物と同じく、着てお出かけになられますと何人かの方に「それは何をお召しになっているのですか?」と尋ねられそうです。
こういったお着物をお召しになる際には襦袢の色も大切になってきますので、帯との組み合わせによって決められると良いかもしれません。
帯は白系やグレー系などモノトーンの合わせできりっと小物をきかせるのも素敵ですし、深いボルドー色系の帯も合いそうです。
是非実物をご覧いただきたい、希少性の高いお着物です。 |