茶鼠色、赭色、素色、黒色の4色の糸で、浮き織を含んだ非常に複雑な凝ったお召織のお着物です。
江戸時代に生まれたお召織は、撚りの強い糸を使って織られ、その着心地の良さからも11代将軍が好んで着られた事から、「お召し物」の「お召」という名前がついたとも言われています。
その後の長い歴史の中で、西陣でも盛んに織られるようになり、模様の種類も増えて変化を遂げていきました。
元々は無地が主流で、紋を入れて男性用の礼装としても着用されていましたが、紋お召、上代お召、風通お召といった少しカジュアルな場面で着られるものも生まれ、女性もたくさん身に着けるようになったようです。
一時は生産も減っていたのですが、近年は上質なものが復元され、デザインも豊富に展開されてきた事に加え、その本来の着心地の良さからも人気アイテムとして復活しています。
こちらは拡大のお写真を見ていただくとおわかりいただけると思いますが、経に白と黒の縞のような模様が織り出されたところに、緯糸が浮き織のように渡って織られています。
撚りの強い糸をこれだけの複雑な模様に織るには相応の技術が必要と思われます。
少し離れて見ますとニュアンスのある無地に見えるような、お洒落な無地感覚のお着物ですので、帯合わせは幅広く、袋帯から名古屋帯までいろいろと合わせてお出かけのシーンによって印象を変えられるのも良いかと思います。
見る方が「そのお着物は何ですか?」と尋ねたくなるような、あまり目にする事のない高級感あふれるおすすめの一点です。
未着用品。
茶鼠「#a99e93 color-sample.com」、
赭(そほ)「#995e4b color-sample.com」、
素色(そしょく)「#eae5e3 color-sample.com」、
黒「#2b2b2b color-sample.com」
をご参照下さい。
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