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草木染三才山紬着尺
横山俊一郎作

古くから日本では、昭和の高度成長期の時代頃まで各地で養蚕が行われ、作り出した糸を近くに自生する草木で丁寧に染め、主に熟練の女性が機を織るといった事が行われていました。
その後、草木染料は化学染料にとって代わられ、手間と時間がかかり重労働でもある機織りは段々行われなくなってきました。
ものがたくさんあって豊かな時代と言われて久しいですが、そうなった時に初めてなくなった大切なものに気が付くのでしょうか。
こちらは染料に栗、山漆、玉葱を使われて織り上げられた三才山紬の着尺です。
こういった手仕事の賜物の様なものに出合うと、ほっとして心が温まる様な感覚を覚えます。
先日からご紹介させていただいております芝崎氏も、高崎市近郊の草木染料と糸にこだわられて作品をおつくりになられていますが、こちらの横山俊一郎氏もお父様の時代から信州の自然の中にあるものを大切に思い、物づくりをされているとお聞きしました。
栗で染められた淡くふっくらとした黄海松茶色がしっとりと上質な糸に馴染んで静かな光沢を放っています。
シャープな印象の縞が交差してお洒落な格子が織り出されています。
この軽くしなやかで、そしてシックなモノトーンの格子がお着物になった時にはどんなに素敵な事かと思い、わくわくします。
是非一度実物をご覧いただきたいと思います。
布巾39.2cm。
黄海松茶色は「#998e58　WEB色見本　原色大辞典」をご参照下さい。