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八枚綾織絵羽紬仮絵羽
本郷孝文作

以前より、一部の作家作品などの未仕立品もお取り扱いさせていただいておりましたが、2014年・新年を迎えるにあたって、店舗の一部をリニューアルし、未仕立品のコーナーを広くさせていただきました。
そこで、リフレッシュしたスタートに力強く見応えのある作品を何点かご紹介させていただきます。
もちろんご紹介しきれていないお値打ち品も数々ございます。
是非お近くにお越しの節は、お遊びにお立寄りくださいませ。
こちらは、趣味性の強いこだわりのお着物のファンの方に人気の高い染織家・本郷孝文氏の絵羽紬の作品です。
珍しい色使いとも言える蒸栗色のベージュをベースに、赤味のある茶・黄唐茶色が段熨斗の配置で上下に染め分けて織り出された訪問着のお着物です。
このように説明いたしますと非常にシンプルなお着物の様に感じられますが、使われている糸の質感の滑らかさと色の数の豊富さには目を見張るものがあります。
地織の綾織の格子の白く見える部分には天蚕糸を使用されるというこだわりで、だからこそ全体に美しい光沢が広がっているのかと思います。
そして綾織の格子の経になる方の縞には5色の糸が織り込まれ、味わい深い複雑な色合いを醸し出しています。
裾の黄唐茶色も二段の濃淡で織られていて、緯糸に節のある浅葱色と天蚕の明るい黄緑色がランダムに織り込まれ、リズミカルなアクセントになっています。
草木で染められた絹糸は、手に取ると何故こんなにもたおやかで、目にすると幸福感があるのでしょうか。
いつも草木染の素晴らしい作品に出合うと嬉しく不思議に思われます。
どんな方にお気に召していただけて、どんなシーンでこのお着物が晴れの姿を披露するのでしょうと、自分の事の様に今からわくわくしてしまいます。
是非一度、この機会に色のマジックの様な草木の糸が織り成す美しい綾織の作品をご覧くださいませ。
黄唐茶色は「#ba8046　WEB色見本　原色大辞典」を、
蒸栗色は「#ebe1a9　WEB色見本　和色大辞典」をご参照下さい。