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「天蚕入り流れ市松文」出雲織絵羽着物地
青戸柚美江作

透き通るような淡いブルー・水浅葱色の絵羽のお着物です。
ご自身で育てられた天蚕糸を市松模様の境目に織り込まれ、その市松が裾から肩口にむかって段々大きくなる配置に並べられています。
藍の色は5段階くらいの濃淡で絣糸に染められていて、その絣の足も味わい深く、全体の大胆な構図には目をうばわれる、そんな大作です。
「市松文の大小で風にたなびいている模様にならないかなあ」と考えられたデザインとの事です。
その全体に大きく流れる図案とは対照的に、細かな部分にまで配慮されて糸を括り、染められ、織られているという事が、作品を見ればひと目でわかります。
図案を締めくくる様に、下前には濃い藍色で細やかな市松が並んでいますが、その四角の中もまた藍の濃淡で小さな市松の絣の模様となっていたりします。
独創的で細やか、大胆で優しい、そして洗練されたデザインは多くのファンを魅了するのでしょう。