【岡本紘子】
1942年 東京生まれ。
女子美術短期大学生活美術科を卒業後、芹沢_介氏の門下に入られました。
師より型絵染の技法を学ばれて国画会でも入選を重ねられ、その女性ならではの感性で生み出される優しさと幸せな空気感の溢れる作品は多くのファンを魅了します。
型絵染は図案を起こし、型を彫り、糊を置いて染めるといった作業を作家さんお一人でされますので、ある意味ではすみずみまでその作家さんの思いが行き渡ります。
今回ご紹介させていただく作品の中でも「空に奏でる」着物地の作品は、かなりの大作といえます。
明るい藍色の地に、絞り染めと型絵で描いた部分と、細やかな市松の型紙を藍と茶系の色で重ねた部分とのコントラストが絶妙です。
以前に「婦人画報」で真野響子さんがこちらの作品をお召になった写真を拝見しましたが、衣桁に掛けてあるのと実際にお召になるのとではこんなにも印象が違うのかと驚きました。
一見すると強い印象に感じられる作品も、人が纏うとこんなにも可憐でお顔の色を美しく引き立てて、藍の色も本当にきれいでそのデザインの素晴らしさに改めて感動をおぼえます。
ただただ綺麗で優しいというだけでは人を魅了しないのかもしれません。
同じ型を使って試作を繰り返し決定された色使い、長年積み重ねられた技術とデザイン力、そこに流れ垣間見えるお人柄の素敵さがすべての作品に感じられ、大人の可愛さを満喫できるような、見る人も着る人も純真な子どもの心に帰れるような、そんな魅力にあふれています。
現在、湯河原の工房で同じく国画会会員であるご主人・岡本隆志氏と創作活動をされています。 |