【商品説明】
雪国の、音さえも吸い込んでしまうような静かな深い雪の中でその素晴らしい作品は生まれます。
春待ちの心に咲く花の姿、白い雪を照らす月灯り、広く澄んだ夜空に道しるべの様に光る星たち、清らかに渡る風といった「雪月花風」をテーマに自然の中の光や草花や風を作品の中に織り込んで、着る人の心にとどけます。
そして包をほどいた時そこには自然のロマンが美しく広がります。
極細の縮の糸からなるもの、上質な細い麻の糸からなるものの違いはありますが、寄り添う藍色のラインの繊細さと白とブルーの絶妙なハーモニーによって、線の動きを変えながら作品のテーマごとに美しく表現されます。
その細やかな線の集合に躍動感が生まれ、活き活きとした作品に生命力があふれています。
「雪中に糸となし、雪中に織り、雪水に洒ぎ、雪上にさらす。
雪ありて縮あり、されば越後縮は雪と人と気力相半ばして名産の名あり、魚沼郡の雪は縮の親といふべし」
鈴木牧之『北越雪譜』より
「初雪」
小千谷縮は雪深いかの地で数百年にわたり伝承され、織り続けられてきた伝統的な織物です。
江戸時代には徳川将軍家御本丸御用縮として名声を得て幕府御用となり、大名300諸侯も江戸城に登城する際には着用を指定されていたそうです。
そのために天明から文化期の最盛期には年間20万反もの生産高だったという記録もあり、魚沼地方の一大産業となり必然的に人手もたくさん必要な事から、江戸よりも人口が多かったほどだそうです。
そんなことを考えながら手に取ってみますと、連綿と受け継がれた美しい布に遠い歴史のロマンを感じたりして幸せな気分になります。
全体に大きな市松の形に区切られ、ひとつの四角の中は藍の濃淡が暈しの様に段々と淡く薄くなっていくもの、もうひとつは細い線に小さな可愛いお花の絣が寄り添っているものとなっていて、タイトルからお花の部分は雪の結晶に見る事もできます。
こんなに大胆な構図でデザインされているのに、実際にお召しいただきますと着る人に優しくフィットする柔軟性があり、必要なだけのお洒落さを発揮してくれる不思議なお着物です。
【樋口隆司 プロフィール】
1948年 新潟県に生まれる
1989年 「世界の麻」展
1990年 第37回日本伝統工芸展入選その後も各賞を受賞
1991年 松屋銀座にての個展をはじめ各地での個展を開催
2004年 新潟県中越地震復興祈念個展「星に願いを」織展
2006年 第1回新潟県伝統工芸展優秀賞受賞 「フェニックス」
2007年 第54回日本伝統工芸展入選 「不死鳥」
2016年 第10回新潟県伝統工芸展正会員賞受賞 「はつなつの風」
2016年 「小千谷縮・軌跡」展 |