【商品説明】
雪国の、音さえも吸い込んでしまうような静かな深い雪の中でその素晴らしい作品は生まれます。
春待ちの心に咲く花の姿、白い雪を照らす月灯り、広く澄んだ夜空に道しるべの様に光る星たち、清らかに渡る風といった「雪月花風」をテーマに自然の中の光や草花や風を作品の中に織り込んで、着る人の心にとどけます。
そして包をほどいた時そこには自然のロマンが美しく広がります。
極細の縮の糸からなるもの、上質な細い麻の糸からなるものの違いはありますが、寄り添う藍色のラインの繊細さと白とブルーの絶妙なハーモニーによって、線の動きを変えながら作品のテーマごとに美しく表現されます。
その細やかな線の集合に躍動感が生まれ、活き活きとした作品に生命力があふれています。
「雪中に糸となし、雪中に織り、雪水に洒ぎ、雪上にさらす。
雪ありて縮あり、されば越後縮は雪と人と気力相半ばして名産の名あり、魚沼郡の雪は縮の親といふべし」
鈴木牧之『北越雪譜』より
「かざぐるま」(小紋)
今回もう一点ご紹介させていただいております仮絵羽の作品「かざぐるま」と同タイトル姉妹作のこちらは小紋の柄附けの着尺の作品です。
紫味のある藍色の濃い縞が主流となって経に7本置かれ、それに絡むようにやや細い絣縞が寄り添い、所々に小さな四角をつくっています。
その間を浅葱色のやはり絣縞がラフな線を描いて引かれ、変り井桁の絣と風車の絣が段替わりに織り出された非常に凝った模様のお着物です。
絵羽附けの模様の難しさとはまた違ったこだわりの作品と思われます。
樋口さんの作品はシャープな印象の計算しつくされたデザインを繊細な糸がやわらかく表現しているような絶妙なバランスが心地良く感じられます。
思わず手に取りたくなりますし、この涼やかさは夏に是非一度身につけてみたくなる魅力にあふれています。
柄合わせも一生懸命考えて大切にお仕立てをして夏の装いを最高のものにしたいと思うような作品です。
絵羽附けの仮絵羽「かざぐるま」は「美しいキモノ 2016夏号」の中で
羽田美智子さんが素敵に着用され、ご紹介いただきました。
【樋口隆司 プロフィール】
1948年 新潟県に生まれる
1989年 「世界の麻」展
1990年 第37回日本伝統工芸展入選その後も各賞を受賞
1991年 松屋銀座にての個展をはじめ各地での個展を開催
2004年 新潟県中越地震復興祈念個展「星に願いを」織展
2006年 第1回新潟県伝統工芸展優秀賞受賞 「フェニックス」
2007年 第54回日本伝統工芸展入選 「不死鳥」
2016年 第10回新潟県伝統工芸展正会員賞受賞 「はつなつの風」
2016年 「小千谷縮・軌跡」展 |