【商品説明】
陽山めぐみさんの創作はオーガニックの木綿糸を手で紡ぐという作業から入ります。
現代では一反分の木綿を経も緯も手紡ぎなさっている作家さんがどれほどいらっしゃるか定かではないですが、非常に少ないという事は確かです。
それは気の遠くなるような時間と手間と技術と根気のいるお仕事ですが、陽山さんは制作の中でそれだけは譲れないこだわりだそうです。
織り進めていくうち、「私の足りない部分を何度もその糸が助けてくれる事があるのよ」とおっしゃいます。
謙虚で、そして前向きな人柄だからこそ出てくる素晴らしい言葉だと感銘を受けました。
図案を決められる際には、はまずお好きな色の糸を並べて機に経糸を掛けられるそうです。
そして交差するとこんな感じになるのかしらと織ってみて、想像と少し違ったらまた別の糸を、そして色が少し足りないと思われたらまた重ね染めてといった作業を繰り返されて、初めてこの素晴らしい絣と木綿の糸が交差する味わい深い色が見えてくるそうです。
糸の染めはすべて草木染で行われます。
まず手紡ぎで糸つくりをし、草木で10回以上染め重ね、落ち着くまで何年か寝かせるなどして、その発色を見て次回の作品に使うかを検討されます。
そのため、着尺の作品ひとつにはおおむね一年の時間を要するとの事です。
「薫風」
2014年国展入選作品。
こちらは、経糸を欅、藍、小鮒草を使って染めたものに、緯糸は栗、椿、現の証拠、柘榴、茜を使われています。
「欅で染めた赤味のある茶色の経糸に藍の緯糸が交差して混ざるとどんな色になるのかしら」と楽しみに織られたそうです。
その交差する中心に一本の茜の糸が走り、藍のグラデーションを引き締め引き立てているように見えます。
経には2.5cm幅の藍の縞とその間の白いずらし絣がリズミカルで、とてもお洒落ですぐに着てみたいと思う衝動と、このたまらない草木の色に染められた手紡ぎの木綿の素晴らしい質感はいつまでも手で触れていたいという、矛盾した思いにかられます。
この機会に是非この心に染み入るような素晴らしい手仕事の結晶をご覧ください。
陽山めぐみ
1964年大阪生まれ。
1987年から出雲織の青戸柚美江さんのもとで山陰の絣の技術を学ばれ、その後兵庫県丹波で手紡ぎ草木染の技法を習得されました。
1992年「国展」で新人賞を受賞。それからも日本民藝館奨励賞など各賞を多数受賞され、現在は国画会会友となられています。
木綿の味わいを最大限に引き出された織りには深い味わいと懐かしさが感じられます。
身に着けるものとしての洗練された素晴らしい作品をご覧ください。
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