【商品説明】
『工芸作家作品展』
日本工芸会、国画会で活躍される作家さんたちの作品をご紹介させていただきます。
長年かかって集めたものや、お願いをして制作していただいたもの、
着物ファンの一人として「これは是非着たい」と思える着物や帯を集めてご案内させていただきます。
お好みによってそれぞれに見応えのある作品が揃います。
この機会に是非一度お立ち寄りくださいませ。
綾の手紬「干潟竿」貝紫花織着物地 日本工芸会正会員 秋山眞和作
この小石丸のたおやかで光り輝く糸の光沢は、目に見えないくらいの細い糸の集合から生まれます。
その細い糸を生み出す小石丸の蚕。一反のお着物を織りあげるために使われる小石丸の蚕の数は約9000だそうです。
それだけの数の糸を使われながら、できあがった反物の重さは非常に軽く、400g前後である事には驚きます。
こちらは貝紫の染料のもととなる「アカニシガイ」が生息する有明海に何度も出向かれる秋山さんが、たまたま夕刻に潮の引いた干潟で海苔の養殖のための竿が夕日に映えた様子を見られ、その美しい光景を表したいと思いつくられたものだそうです。
「とてもロマンティックですね」とお話を伺いながら、私も以前に見た事がある有明の海に思いを馳せたりしました。
「経緯の絣に使われる貝紫の数はやはり8000〜8500個でしょうか」ともお話しされていました。
貝紫の絣の間を経に走る縞は、工房で大切に管理されている30余の藍甕で染められた本藍の浅葱色の糸です。
さらにその細く繊細な糸が小さな花織の模様を織り出しています。
気の遠くなるような道のりのように思えますが、本物をつくる事へのこだわりはどの工程も決して譲れないもので、その信念のようなものが清々しく作品から伝わってきます。
昨年つくられた「ペガサス」という藍染の作品を個人的にわけていただき、先日着用させていただいたのですが、本当に着心地が良く軽く、とても軽やかで華やいだ気持ちになりました。
こちらの作品のような小石丸糸使用で貝紫染めというものは本当に心の贅沢を満たすような力があります。
そして他には見られない個性は小石丸の糸の美しさであり、貝紫の気品のある発色であり、デザインの素晴らしさでもあります。
是非この機会に実物をご覧いただきたい、様々な美技が集結して完成された素晴らしい逸品です。
【秋山眞和】
1941年 9月29日生まれ
1966年 宮崎県綾町にて綾の手紬染織工房創設
1968年 日本伝統工芸展入選
1972年 日本工芸会正会員認定
1982年 日本産の貝による実用貝紫染色に初成功
1991年 小石丸蚕による製織完成
2004年 銀座和光にて個展開催
海外でも個展・講演を開催。
数々の賞を受賞し、文化庁買い上げとなる作品も多数制作
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