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網目に貝の柄紬名古屋帯
さいとう富蔵作

淡いレモンイエロー・鶸色の紬地に少し楽しい雰囲気で磯辺の生き物が描かれた、これからの季節にも合いそうな、どことなく可愛らしさもある斎藤富蔵氏作の名古屋帯です。
主役は大きなサザエでしょうか？板屋貝のような二枚貝や巻貝、そしてヒトデなんかも描かれています。
貝の図柄は大漁のイメージやおめでたい模様として、古くから小袖や衣装などにも取り入れられていて資料などでも目にする事がありますが、大正時代以降の特に帯の柄になりますとどこかユーモラスで楽しく見えるのが不思議です。
こちらの帯は柄も淡色の濃淡で描かれ、まるで絵本の挿絵のようでもあります。
また地色の緑味のあるクリーム色はどんなお着物とも合わせやすく、嬉しい限りです。
その地色に淡い臙脂色・櫨色の濃淡で貝を描き、若菜色を挿し色にして軽快なイメージに染められ、高い友禅の技術をもってわざとラフなタッチにし、普段の紬類のお着物と合わせて楽しめる帯としてまとめられている事は、さすがと思いました。
さらに全体を覆う様に描かれた網目が楽しく、全体をリズミカルにしてくれているようです。
実際の漁網の色の赤褐色を使われているのがまた面白いです。
春のお出かけが楽しくなるような、おすすめの一点です。
鶸色は「#d6d06b　WEB色見本　原色大辞典」を、
櫨色（はじいろ）は「#b77b57　WEB色見本　和色大辞典」を、
若菜色は「#bfcc88　WEB色見本　原色大辞典」を、
赤褐色（せっかっしょく）は「#683f36　WEB色見本　和色大辞典」をご参照下さい。