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浜辺の図友禅名古屋帯

3月に入ってもまだまだ冷たい雨の降る日がありますが、お天気の良い日には近づく春を感じられるような明るい陽ざしの時間もあり、少しうきうきとした気分になってしまいます。
そんな日が多くなるこれからの季節には、こんなモチーフの染めのものも楽しく見る事ができます。
甘さのある藤色・薄葡萄色に染められた五泉の帯地に、イタヤ貝と大きなサザエが手描きの友禅で描かれ、手刺繍が施された上質な名古屋帯です。
おめでたい柄として古くから好まれる貝の柄ですが、イタヤ貝は特に檜扇のような形で華やかさがあるためか、衣装にも多く取り入れられています。
こちらは飴色に檜皮色で暈しが入れられ、寄り添うサザエはシックな紺鼠色となっていてそのコントラストもとても美しく華やかです。
背景の白く染め抜かれた波頭には銀彩で光が加えられ、さらに部分的には銀箔の糸で刺繍がされています。
部分的な刺繍は、お召しいただくと動きによって光沢に変化が出て柄がより立体的なものとなり、見る方の目にも楽しく、そして高級感を感じられるものとなります。
華やぐ季節には、今回別でご紹介させていただいております結城紬や大島紬などとお合わせいただいて、こんな素敵な染めの帯で是非お出かけいただきたいと思います。
古典の中にモダンさも感じられる、素晴らしいおすすめの一点です。
未着用品。
薄葡萄色は「#afa0b2　WEB色見本　原色大辞典」を、
飴色は「#deb068　WEB色見本　和色大辞典」を、
檜皮色（ひわだいろ）は「#965036　WEB色見本　和色大辞典」を、
紺鼠色は「#44617b　WEB色見本　和色大辞典」をご参照下さい。