山に出掛けて具合の悪くなった人が、山帰来の根を食べて回復し、無事に帰ってこられたという話にも由来してその名前がついたとも言われる山帰来は、野山で比較的よく見かけられる植物でした。
最近ではどのくらい見られるのかはよくわかりませんが、私も子どもの頃にそのハート形の葉っぱを見つけると、喜んで採って帰りました。
私の田舎のある地方、主に西日本では、柏餅の葉に柏ではなく山帰来の葉を使っていて、採って帰ると祖母がよく柏餅を作ってくれました。
薬効もあるといわれる植物なので、そのように使われていたのかもしれません。
こちらはそんな事が思い出されるような、素敵な夏の袋帯です。
濃い焦げ茶・紅消鼠色の地に、あまり際立たない色使いの煤竹色で山帰来のたっぷりとした葉が織り出され、退紅色で可愛い実があしらわれています。
夏の訪問着や附下のお着物は淡色系が比較的に多くなりますので、そういったお着物にもメリハリのある合わせ方をですしていただけるのではないでしょうか。
紗の袋帯も、白っぽいものや白に淡色系の織り柄のものが多くなりますので、濃い色の帯をお探しの方にはおすすめの品質の良い一点です。
地の色は紅消鼠「#524748 color-sample.com」、
葉の色は煤竹色(すすたけいろ)「#4d2d26 color-sample.com」、
実の色は退紅(あらぞめ)「#d69090 color-sample.com」
をご参照下さい。
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