本場黄八丈 鳶色無地 山下めゆ作
身丈160cm 裄丈67.5cm 袖丈49cm
おそらく昭和の中頃のものと思われる、山下めゆ氏作品がとても久しぶりに入荷いたしましたのでご紹介いたします。
本場黄八丈は主に「黄」、「樺」、「黒」とその中間の色の糸によって織られますが、その中でも黒と並んで染める事が大変で難しいと言われる、樺色の無地の真綿の糸のタイプの作品です。
共の箱の中に山下めゆさんによる染めに関する説明文が入っていて、興味深く読む事ができましたが、伝統の色を守り、創り続け、そして伝えていく事は本当に大変なご苦労があるのだと改めて感じました。
特に日本全体が高度成長の波に乗り、色々な物が量産を求められて、ケミカルな物に変わっていった時代に書かれたと思われる力強い文章は、心に響く重さがありました。
一部をご紹介させていただきます。
「黄八丈の特徴は、孫や曾孫の代まで色褪せないといわれるその染が生命で、南の島に恵まれた天然のおかげもあるでしょうが、多くの手数と日にちをかけて染め上げる島の染法は、他の模造品の追随がついに及ばなかったところでした。
あるいは年貢という宿命を背負わされた結果と推量できなくはありませんが、しかし絶海の孤島で激しい自然のなかに助け合いながら生きてきた先人たちの素朴な誠実さがこんにち不合理とも考えられるような工程を含めて、ほとんど完璧な仕事をつくりあげたと想像するほうが、むしろ真実に近いでございましょう。
〜中略〜
化学繊維がいくら発達しても、やはり天然繊維のもつ特有の味が人びとの愛着を繋ぎとめるように、昔から本染と呼ばれて尊重された純粋な草木染も、豊富な色彩を短時間に染め出す科学染料とはおのずから別個のものと申せましょう。
〜後略」
全部をご紹介できないのが残念ですが、ご自分のお仕事にプライドを持って臨まれている事がよく伝わってきてとても素晴らしいと思いました。
近年の小石丸のタイプの糸が使われる様になる以前の、真綿の糸の風合いが複雑な色の変化になって現れる味わい深いものです。
天然染料ならではの長い年数を経た色の美しさを十分にお楽しみいただける、珍しいおすすめの逸品です。
商品番号 r0869
本場黄八丈 鳶色無地 山下めゆ作
販売価格 有難うございました
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