鯛恵比寿図弓ヶ浜絵絣袷着物
鳥取県無形文化財保持者 嶋田悦子作
身丈165cm 裄丈66.5(+3)cm 袖丈48.5cm
ちょっとおとぼけ顔の鯛と釣竿、魚篭、そして烏帽子と、いわゆる恵比寿様の持ち物とされる物が絵絣で織り出された、藍染めの木綿のお着物です。
こちらは弓浜絣伝承者で鳥取県無形文化財保持者でもある嶋田悦子さんの作品です。
昭和28年に東京に嫁がれて、ご主人のお仕事の関係から民芸運動家でもあった柳宗悦氏の甥で染織家の柳悦孝、悦博兄弟に師事し、織りの勉強をされました。
その後、故郷の弓ヶ浜絣が高度成長の波に押され消えようとしている事を懸念され、ご主人とともに昭和45年頃に鳥取に戻られ、弓浜絣の復興に尽力されました。
一言で復興と言っても、それは並大抵の事ではなかったと思います。
弓浜絣の材料でもある伯州綿は透き通る様に白く、弾力性に富み、やわらかく軽いのですが、織物の糸としての加工は大変な技術を要すると聞きました。
だからこそその技術によって糸を紡ぎ、藍で染め、手織りで織られた鳥取地方の絣は古くから珍重され、高級品として流通しました。
呉服屋を営んでいた母や祖母からそんな話を聞いた事を覚えています。
また以前にもお話をしましたが、私自身もそのすてきな織物を目にしたくて20年以上前にその地を何度も訪れました。
その時に、お嫁入りに「嫁ぎ先に根を下ろしてとどまる様に」という意味から持たされたという図柄の碇の模様には大変驚きました。
縁起の良い宝尽しの模様や、長寿を願った鶴と亀の柄、またユニークなものでは因幡の白兎に因んでか波兎の柄など、今思い出しても楽しい図柄を豊富に見る事ができました。
こちらの鯛と恵比寿さまの模様のお着物は、そんな事を懐かしく思い出させられる様な作品でした。
本当に弓浜絣を大切に思い、昔と変わらない工程でつくり続けていらっしゃるのだなという事がひしひしと伝わり感動しました。
白洲正子さんが、「文化財であろうとなかろうと美しいものは沢山ある」と著書に書かれ、ご自身も嶋田さんの作品をご愛用されていた事がうなづけます。
ふわりと手に馴染むやさしい木綿の懐かしさと藍の澄んだ色が、無言でその事を語っている様です。
是非一度ご覧いただきたい逸品です。
未着用品。
商品番号 r1013
鯛恵比寿図弓ヶ浜絵絣袷着物
鳥取県無形文化財保持者 嶋田悦子作
自由が丘扇屋扱
販売価格 有難うございました
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