東京友禅「松に御所車」絽袋帯
熊谷好博子作
その細密な友禅の美しさと人間味のあふれるのどかさのある図案、そして完成度の高さで定評があり、品格のある素晴らしい数々の作品を世に出された故・熊谷好博子氏の作品は、個人的にも大好きで長くお仕事をさせていただく中でも何度かご紹介させていただきましたが、これほどまでの大作の袋帯には久しぶりに出合いました。
そしてそれが夏用の絽に染められている事に再び驚きました。
さらにその図柄は雪景色なのです。
大ぶりな松の枝が白い雪に覆われ、お天気が良いのか陽射しにきらきらと輝く様に綺麗な刺繍が施されています。
かまくらの様に重なって覆い隠す様に描かれた御所車には、やんごとなきお方が乗っていらっしゃるのでしょうか。
車からたなびく衣の模様や、足元に描かれた雪持ちの笹が可愛く素敵な女性を連想してしまいます。
源氏物語に早い春の雪の場面はたくさん登場する様ですので、そんな中の一場面を描かれたものかもしれません。
日本画を目指された好博子氏ならではのイマジネーションの広がる素晴らしい図案と言えるのでしょう。
そして前柄はやはり雪が積もった松と生垣、そして桜の花となっています。
全体に透明感のある藍色が撒糊の濃淡で染められていて、それに映える白い雪で涼感を出すといった心憎い演出が見られ、友禅はさすがの細やかさとボリュームで圧巻です。
「ここまで立派なものじゃなくても夏の染め帯が欲しいわ」と言われる方も多いのですが、東京友禅の昭和の匠の素晴らしい作品です。なかなかまた出合う事はないと思われます。
お出かけの機会がおありの際には是非一度ご覧くださいませ。
(長さ)4m47cm×(太鼓巾)31cm。
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商品番号 r1059
東京友禅「松に御所車」絽袋帯 熊谷好博子作
販売価格 有難うございました
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