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「春蘭」友禅名古屋帯
人間国宝　羽田登喜男作

重要無形文化財「友禅」保持者・羽田登喜男作。
灰色味のある淡いピンク・淡紅藤色の縮緬地に淡く墨暈しが入れられ、そこに春を告げる様に健気に咲く春蘭のお花が、羽田登喜男氏作品らしい色使いと繊細さで描かれた素敵な名古屋帯です。
こういった小作品でも素晴らしい生命のエネルギーが伝わってくる事はさすがだと思います。
帯の作品はかえってメッセージがわかりやすく、凡人の私としては大好きなアイテムです。
私事ですが、若い頃に住んでいた実家には、地方でしたので割と大きな庭がありました。
母は山野草が好きで至る所に色々な草花を植えていたのですが、山野草の楽しみは春の芽吹きの時期で、柔らかい土に春の陽射しがあたって心地良くなる頃、その土を割って可愛い山野草の芽が現れるのをタイミング良く見る事ができると本当に嬉しくて嬉しくて誰かを呼びたくなるほどでした。
そんな中でも春蘭は春のお庭に一番初めに登場します。
一見保護色の様に葉と花の区別がつきにくい種類のものでしたので、見つけると本当に嬉しく思えました。
そんな事を思い浮かべて見ていると懐かしく、羽田登喜男さんもお花がお好きでよくスケッチをされていたと聞いた事がありますが、同じような場面に出会われたのかしらと楽しくなったりします。
大人の印象のクールなピンクがとても素敵で、きっと程良く華やいでお着物を格好良く引き立ててくれる事と思います。
葉の先の黄色や青は実物にはないのに、それが入れられる事でより写実的に見えるのが不思議です。
年始から先、早い春を取り入れてお出かけされるのには最適な、素晴らしいおすすめの逸品です。
こちらは良い状態で入荷いたしましたが、芯がとてもやわらかいものでしたので、お使いいただきやすいものに変えてお仕立替をいたしました。
淡紅藤色は「#e6cde3　WEB色見本　和色大辞典」をご参照下さい。