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「波に鴛鴦図」京友禅単衣訪問着
五代田畑喜八作

文政年間から代々続く京友禅の老舗染織工房を1995年に継がれた五代目田畑喜八氏が、大胆な構図をシックなグレーと藍色で描いた、その色合いにも独特の個性が窺える素晴らしい作品です。
肩口から裾へと流れるような構図で大きな波が描かれ、そこに無数の疋田模様が染められて、その周りを鴛鴦が遊ぶ「寛文小袖」などにも見られる図案は、東京国立博物館に所蔵される重要文化財「黒綸子地波鴛鴦模様」小袖に取材されたものと思われます。
その解説にもあるように、一見波に見える図案も網干の様でもあり、また勢いよく天をめざす筍の様でもあります。
筍は成長のシンボルであり、鴛鴦は夫婦円満を意味する事からとてもおめでたい図柄となっています。
またこちらの作品は単衣にお仕立をされていて、なんとも嬉しい贅沢なフォーマルのお着物と言えます。
そして波の図案や鳥の胴の白い部分は真っ白ではなく砂色のシックなものとなっていて、それが全体を落ち着いた雰囲気にしているように見えます。
鳥の羽根や波の輪郭などの藍色が、力強く美しく引き締まった印象をもたらしてくれて、バランスの取れた重厚さが安心感を与えてくれます。
単衣の良いお着物をお探しの方には大変おすすめの、なかなか出合う事のない素晴らしい逸品です。
未着用品。
藍海松茶色は「#56564b　WEB色見本　原色大辞典」を、
砂色は「#ccc3a5　WEB色見本　原色大辞典」を、
濃藍色は「#091633　WEB色見本　和色大辞典」をご参照下さい。