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裂取花鳥文様図結城紬訪問着
紬屋吉平

これこそ贅を尽くしたお着物と言えるのではないかと思えるほどに素晴らしい、本場結城紬に藍染めで地染めをして友禅で四季の草花と鳥を描いた訪問着のお着物のご紹介です。
まず地の引き込まれるほどに深い藍色がしっとりとした本場結城紬の質感と馴染んで、本当に美しく底から輝いていて目を引かれます。
高い技術で細やかに描かれた花鳥模様は古色然とした雰囲気を持ち、まるで明治期の富裕層の持ち物であった「木綿友禅の晴れ着」の資料を見ているかのようです。
その色使いといい、所々に施された手刺繍の繊細さといい、いつまでも手に触れて見ていたいような魅力にあふれていて、思わず身につけるためのものである事を忘れてしまいそうです。
時代裂を色とりどりにあしらった構図となっていて、そこに描かれた野菊の可憐さも小鳥の愛らしさもどれをとっても素敵で、是非実物をご覧いただきたいと思います。
江戸期のものを表現するかのように古色を帯びた雰囲気の茜色に染められた上前の紅葉が描かれた短冊が、主役となって格調高さを醸し出しているようです。
もし許されるのならずっとお宝として置いておきたいと思えるほどに素晴らしいお着物です。
またお羽織りいただきますと軽くしなやかで、そしてふっと命が吹き込まれたように活き活きとその素晴らしさが加速して別格に格好良い着物姿となります。
今年はこちらのようなタイプのやはり紬屋吉平さんの藍染めに筒描き的な加工の単衣のお着物が入荷し、それも大変希少性が高く嬉しく思いましたが、この秋にまた袷のものが手に入り、さらに嬉しく思います。
趣味性が強く、どなたでも取り入れやすいかどうかはわかりませんが、お着物ファンの方にはご覧いただくだけでも喜んでいただけそうな素敵な逸品です。
少し前の作品で藍染めである事もあり、当店で時間をかけてお手入れをしてお仕立替えをいたしました。
濃い藍色は「#0b0719　WEB色見本　原色大辞典」を、
柳茶色は「#a1a46d　WEB色見本　和色大辞典」を、
根岸色は「#938b4b　WEB色見本　和色大辞典」を、
伽羅色は「#d8a373　WEB色見本　和色大辞典」をご参照下さい。