着物　アンティーク着物　振袖　訪問着　留袖

「水仙」友禅開名古屋帯
人間国宝　羽田登喜男作

今回もう一点ご紹介させていただいております森口華弘氏と同様に、数々の賞を受賞され、日本の染織文化に大きく貢献された、重要無形文化財「友禅」保持者・羽田登喜男氏作の名古屋帯です。
その功績はお伝えしきれないほどのものですが、例えばこちらの帯のような一作品に出合っても、その小さな世界に凝縮された力から独特の世界観の広がりを感じます。
綺麗なシボの縮緬地が淡く儚げな女郎花色に染められ、まるで美味しそうなミルクシェイクのようなふわふわとしたやわらかさが感じられ、思わず心が和みます。
水仙のお花は、まだ早い春に冷たい空気の中から芽を出す力強さと、その空気の中に一本線が通ったように凛とした香りを持っています。
その香りを感じたときに「あ、春が近いな」と思えたりします。
そんな自然の中の素材を、独特の高い友禅の技術をもって品格のある色調で表現され、人々に感動を与え続けられた、故・羽田登喜男氏の作品です。
個人的には草花の作品が大好きで、お着物全体に描かれている作品などに出合うと、長い時間うっとりと見入ってしまい、心はどこか遠くの山里や草原に行ってしまうくらい素晴らしく感動を覚えます。
その感動を一部分切り取って帯として身に付ける事で、日常にも取り入れられて嬉しく思えます。
そんな事を考えたり、春待ちの素敵な気分を味わえたりと、本当にお着物の世界は奥が深いですね。
新年に向け、羽田登喜男氏の大作の訪問着をご紹介できるよう、現在準備を進めておりますのでご期待ください。
未着用品。
女郎花色は「#f2f291　WEB色見本　原色大辞典」をご参照下さい。