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「孔雀」蒔糊友禅訪問着
人間国宝　森口華弘作

一年の中でお着物の装いの方を目にする機会が一番多く、何となくお着物への意識も高まる新年に、この季節に相応しい、それぞれのジャンルでも最高クラスの部類と言えるような素晴らしいお着物を何点かご紹介させていただきたいと思い、時間をかけて準備していましたが年末に揃って上がってまいりました。
今回はその中でも大作と言える森口華弘氏の作品が何点かご紹介できて嬉しく思います。
こちらは色使いも個性的で、少しモダンな印象の訪問着の作品です。
珍しい濃いめの萌葱色の地に、裾から身頃に向かって密度が変わる事で暈しの様な効果を持つ配置に蒔糊が散らされ、そこに地染めされた金糸雀色が現れ、素敵なコントラストになっています。
そしてたおやかに大胆に描かれた孔雀の羽根が主役となって、動きのある素晴らしい訪問着のお着物として完成されています。
その白い羽根に黄金色のアクセントがある事で一段と華やいで見えるようです。
羽根は大きく描かれていて強い印象に見えるのですが、線の集合であるためか実際にお羽織りいただきますととても優しくふわりと包み込んでくれるような印象に変わります。
そういった部分まですべて計算されたデザインの素晴らしさだという事がとてもよくわかります。
一見では非常に難しく、取り入れにくいお着物の様に見えるものが、実際に身にまとうとこんなにも違った雰囲気を醸し出し、着る人も見る人も魅了するような力を持っている事に感動します。
宝石の輝きにも似たゴージャスさはこの地色から感じられるものかもしれません。
他ではまず見る事がないと思われる個性と品格を持った素晴らしい逸品です。
萌葱色は「#003327　WEB色見本　原色大辞典」を、
金糸雀色（かなりあいろ）は「#eada5d　WEB色見本　原色大辞典」を、
黄金色は「#e6b422　WEB色見本　和色大辞典」をご参照下さい。
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