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松皮菱に草花文総手刺繍訪問着

一年の中でお着物の装いの方を目にする機会が一番多く、何となくお着物への意識も高まる新年に、この季節に相応しい、それぞれのジャンルでも最高クラスの部類と言えるような素晴らしいお着物を何点かご紹介させていただきたいと思います。
こちらは当店では今まであまり扱う事が多くなかったタイプですが、その刺繍の見事さに思わず一度手に入れてみようと思ってしまった、刺繍の大作のお着物です。
まず地紋かと見間違える四角の連続はドロンワークの刺繍からなっていて、それだけでも気が遠くなるような時間を要したと思われます。
その土台に金糸を含めた疋田模様の松皮菱ラインが刺繍され、その四角の中には梅、松、桜、桔梗、藤袴、紅葉、笹など挙げきれないくらいの種類の四季の草花や木々がさらに細やかな刺繍で描かれています。
全体が一方附け模様となっていますが、部分的に枠をはみだしているものもあり、上前などポイントになる部分には大きめの刺繍が施されています。
時代衣装的な印象もあるほどに、刺繍による厚みというか凹凸感が独特のボリュームを生み出していて、よりゴージャスなものとしているようにも見えます。
それでいて、少し離れると小紋附けの軽やかさのような印象もあり、着こなしや帯合わせによってお出かけ先に合わせて楽しまれるのも良いかと思われます。
地紋のように見える小さな四角のドロンワークによって少し透け感があるため、胴裏は八掛と共の地色に染め出しをして、通し裏のようなお仕立にいたしました。
八掛の裾周りには同柄の刺繍が施されているという凝り方です。
重厚で高級感のあふれる珍しい逸品です。
お仕立替え済。
褐色（かちいろ）は「#282833　WEB色見本　原色大辞典」を、
葡萄茶色（えびちゃいろ）は「#6c2c2f　WEB色見本　和色大辞典」を、
栗梅色は「#662313　WEB色見本　原色大辞典」をご参照下さい。