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「粧（よそおい）」紬織着物
川崎寿喜作

第32回日本伝統工芸展近畿展入選作品。
少し離れるとほぼ無地のように見える万筋のような細かい縞をベースに、白い絣の縞を縦にずらしたように菱と三角が構成されて、全体にはリズミカルで楽しい模様になった手織りの紬のお着物です。
滋賀県で草木染・手織工房「吾亦紅」を開かれ、草木染と手織りでたくさんの作品をつくられそれを伝えるために教室も開かれている川崎寿喜さんの素敵な作品です。
草木染には、例えばこういった茶色でも、1色ではなく複雑な色のハーモニーのような集合の魅力があります。
見ているとまるで周りまでその色がふわっと広がっていくようで、さらに身に纏うと気持ちまでやわらいで優しくなれるような独特の不思議な世界があります。
特にこちらのお着物のように丁寧な工程で染められ、手織をされた作品は静かな中にもハッとするような心奪われる力が感じられます。
きっとお気に入りの一点となってながくながく大切に手元に置いていたいと思うものとなっていくと思われます。
それが手仕事の積み重ねで完成されたもの、いわゆる工芸品と呼ばれるものが持つ力だと思います。
是非この素敵な作品に触れてその魅力を感じていただきたいと思います。
未着用品。
桑染色は「#7f6833　WEB色見本　原色大辞典」を、
媚茶色は「#4c422f　WEB色見本　原色大辞典」をご参照下さい。