着物　アンティーク着物　振袖　訪問着　留袖

レンギョウに童子図　加賀友禅訪問着
初代由水十久作

おかげさまで、今回の『初秋のよそほひ展』に華やぎを添えてくれる素晴らしい作品がたくさん揃いました。
そんな中、初代由水十久氏作の珍しい作品が入荷いたしましたので是非ご紹介させていただきたいと思います。
童子を描く事で右に出る方はいないと形容される初代由水十久氏ですが、その描写の細やかさや躍動感あふれる表情、そして人物の配置などの構図、背景などどれも本当に素晴らしく、それは実際にお召しになると、目にする方どなたにでもわかる力強い魅力となって現れます。
こちらは青味のある緑・錆浅葱色の地に、上前から下前にかけて松葉色の蝋纈染が施されて色分けがされ、右袖の後ろの袂から始まって肩口を通り、上前に到着する大胆な枝ぶりのレンギョウがたくさんの花をつけた様子が描かれています。
その咲き誇る木の下で可愛い童子が獅子舞を踊り、太鼓を叩いてはしゃいでいます。中国趣味的な装いで、春節のお祝いのようです。
今年の中国の春節のお休みは2月の後半でしたが、日本に観光に来られた方も多く、銀座の街もすごい数の人で歩くのも大変なほどでした。
そういった旧暦の行事のある季節を意識されて、日本ではお正月に行われる獅子舞に、3月に咲くレンギョウのお花をあわせて描かれたとも考えられ、そうしますとお召しいただける季節も広がりますので嬉しい限りです。
早春の空気の冷たさと、陶器のように美しい童子のお顔の質感とが素敵な緊張感のように伝わってきて、いつまでも飽きる事なく眺めていたくなります。
そして豊かで幸せな気分にさせてくれるなんとも言えない魅力を発揮しています。
実際にお召しいただきますと、お花の枝ぶりにボリュームがあり、素晴らしく華やかな着姿となります。
この地色ですと本金の帯もきれいに合いそうですし、白地の唐織やまた黒地の帯でも引き締まって素敵かもしれません。
礼装のお席でもきっと素晴らしい輝きを放ってくれる、存在感のあふれる素晴らしいおすすめの逸品です。
錆浅葱色は「#304d4c　WEB色見本　原色大辞典」を、
銀朱色は「#c85554　WEB色見本　和色大辞典」を、
松葉色は「#839b5c　WEB色見本　和色大辞典」をご参照下さい。