【商品説明】
「銀座かわの屋」は長い夏のお休みをいただいておりました。
お盆も過ぎますとあまり白い麻のお着物は着られないと仰る方や、なんとなく秋の装いが気になり始める方もいらっしゃるとも思いますので、これからは少し早めに秋のアイテムを順番にご紹介させていただきたいと思います。
紫根染めの歴史は古く、鎌倉時代には広く知られていたと言われます。
さらに中国でも春秋時代には染められていたようですが、近年化学染料が開発されるまでは、染色は植物染めや草木染が主流であったのですからそれは当然ともいえます。
しかしながら紫という色は特別なもので、天皇や高位の身分の方にしか身に着けることが許されないものでもあったそうです。
江戸時代の頃まで一般市民には憧れの色であったようです。
今回ご紹介させていただきます作品はどれも少し以前の時代の作と思われるもので、経年保管の草木染の特徴でもあるしっとりと落ち着いた深い色になっています。
紫根染めは、6〜7月に白い花を咲かせる多年草ムラサキの植物の根を乾燥させたものから抽出して染められます。
その工程は多く、まず型紙を使って青花の液で柄付けをして絞りの模様を決めていきます。
それを絞り手が木綿の糸で柄に沿って絞っていき、染師はその絞られたものをムラサキの草の根から抽出した染液に浸けて浸透させていきます。
その作業は状態にもよりますが、10回から20回と重ねて染めてられるそうです。
染めあがったものはしっかりと乾燥させて、人の手によって絞りの糸を丁寧に解いていきます。
そうして仕上げられたものが初めて作品として世に出されます。
こちらは白山系の紬地に染められているようで、木綿に染められたものよりいっそう濃くなっています。
丸と十字の重なった花菱のような模様が並んでいますが、模様と模様の間の無地部分も、絞りによる濃淡で濃い中にもニュアンスのある素敵な色になっています。
年数を重ねてこその深くこっくりとした素晴らしい色です。
絹地ですので、やわらかものの小紋の感覚でお召しいただくと良いのではないでしょうか。
染めの帯も織りの帯もお合わせいただけますし、色はベージュや白系が綺麗ですね。
秋が深まりますと、黒系やグレー系も良いかもしれません。
白山紬のシャリっとした着心地の良さが魅力的で、深みのある色にも高級感が感じられます。
早く袷を着られる秋が来ないでしょうかと楽しみに思える、おすすめの一点です。
お仕立て替え済。
紫紺「#331a33 color-sample.com」をご参照下さい。
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