【商品説明】
爪掻き綴れ織は、機の下に織り出す模様の図案を置いて、それに沿って丁寧に織っては爪で緯糸を詰めてという作業を繰り返し織られます。
非常に根気と技術を要するもので、こちらの作品のように多色の糸でそれを成されるのは至難の業といえるでしょう。
空の色が美しく変化して霞の模様になっていく様子を綴れ織で表されていますが、暈しを含めて色と色が交差していく見事な作品です。
格高の小紋や色無地、江戸小紋、附下のお着物などとお合わせいただきましても、品格のある装いをお楽しみいただける事と思います。
淡く綺麗な色の集合が装いを洗練されたものとしてくれそうです。
このタイプの綴れの帯は、生涯お付き合いしていけそうな安定感があり、揃えておきたいと思えるアイテムですが、それがこちらのような細見華岳さんの作品となりますとさらに嬉しく思えたりします。
大変希少性の高いおすすめの逸品です。
【細見華岳】
1922年 兵庫県生まれ。
丹波布で有名な丹波市出身で、昭和の初めより西陣の機屋さんで修業を積まれました。
戦争が近づいた頃、贅沢品を作ったり身に着けたりする事を禁止された時期があったそうですが、それによってなくなってしまった染織文化は加賀縫とよばれる日本刺繍など他にもたくさんあります。
そういった中で綴れ織もやはり贅沢品の極みのようなものであったと思われますが、卓越した技能を持っておられた細見さんは戦争に突入してからも、例外として創作を許されたほどであったようです。
ただその後に徴兵されて満洲へ送られ、創作を断念されました。
さらに敗戦後は不幸な事にシベリアに抑留され、言葉にならないほどの大変なご苦労をされたそうです。
1948年に帰国が叶い、お仕事も再開されました。
命ある事に感謝され、お仕事へ臨まれる真摯な姿勢やお人柄を、人間国宝である喜多川平朗氏にも、また同じく人間国宝である森口華弘氏にも認められて指導を受けられ、日本伝統工芸会に出品されました。
1963年より各賞を受賞され、それまでの西陣の綴れ織の常識を変えるほどに少ない色数で、上品で静かな佇まいの中に綴れ織ならではの奥深さを表現され、厳しくも美しい作品を発表され続けました。
1997年重要無形文化財「綴れ織」の保持者に認定。
2012年1月1日没。
地の色は藤鼠「#cfcfe6 color-sample.com」、
霞の色は紫苑色「#867ba9 color-sample.com」、
薄青「#93b69c color-sample.com」、
赤香(あかこう)「#f6b894 color-sample.com」、
鳥の子色「#fff1cf color-sample.com」、
生成り色「#fbfaf5 color-sample.com」
をご参照下さい。
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