【商品説明】
この時期に完璧な状態の重要無形文化財の越後上布が入荷した事を嬉しく思い、ご紹介させていただきます。
先人の知恵と工夫の結晶であるような、自然布の織物、特に上布類は個人的にもとても好きなので、年間を通して探しておりますが、良いものに出合えると本当に嬉しくて、長い時間手元で見てしまいます。
越後にも何度か訪れて、糸績みをされている場や織られている現場、厳しい雪の中の雪晒しの作業なども拝見しましたが、どれも容易い事ではなく、それぞれに繊細で知識と熟練の技術を要する事が伺い知れました。
仕上げとなる雪晒しは、その日の気温や湿度によって時間を調整しなければ、凍ってしまい生地がボロボロになってしまうとお聞きした時には、本当に驚きました。
ひとつの反物が出来上がるまで60〜70工程にも及ぶ手仕事の積み重ねには、熟練の人の手による高い技術と時間と根気とが必要となります。
長い歴史の中で数々の工夫を重ねられたのでしょうが、自然にあるものでここまでの織物を完成させる事ができる日本人の底力のようなものさえ感じます。
雪に閉ざされた期間、家族のための収入源になっていたという、雪深い地域ならではの事情で織られていた時代もあったようです。
それは他の地域でも言える事で、例えば農閑期に木綿を育てて織るといった事が各地で繰り返されてきている点からも、日本の女性はたくましいと思えます。
そうした中、越後上布は日本でいち早くユネスコの無形文化財遺産に登録をされました。
こちらは反物のひと幅が縦に細く太く7分割され、細く取られた中は小格子模様の四角とカ絣の三角が並んだものと、格子に斜め格子が交差した模様とカ絣が並んだものがあります。
太い方は、小さな四角の模様とお花の絣が市松に配されたものと、さざ波の様な絣に十字絣が並んだものが織り出されています。
非常に複雑な絣模様が全体に織り表された、大変手の込んだ珍しいお着物です。
しかしながら
少し離れて見ますと、そういった複雑さは感じさせないような、透明感のある墨黒がベースとなったモノトーンの色使いも素敵で、すっきりとした幾何学模様でお洒落な雰囲気となっている事が不思議に思えます。
実際にお召しいただきますと、素敵な着姿を演出してくれることと思います。
帯は何を合わせましょうかと、楽しみに悩んでしまいそうですが、科布や藤布、からむしなどの自然布のものもよく合いますし、格子や縞のシンプルな帯も綺麗ですし、型絵染や紅型染めなどもお洒落に合う事と思います。
夏のお出かけが一段と楽しみに思えるような、他のお召し物にはない越後上布ならではの魅力を最大限に感じられる、大変おすすめの逸品です。
衿裏には平織の小千谷の麻が使用されていて、居敷当てはついていないお仕立てとなっています。
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