【商品詳細】
最初は伝統的な倉吉絣を模倣し、それをご自分のものとされるために、何十年も必死で模索、研究し、突き詰めていかれた福井さん。
先人の言われる「純白で包容力のある綿のようであれ」「藍より美しいものはない」という言葉を心に留め、藍に始まって藍に終わる人生だったと感じられるほど、奥深い藍は木綿の尊さによく合っていると思うと著書にも書かれています。
昨年お尋ねした時には、そんな厳しさとは裏腹な気さくな笑顔で出迎えてくださいましたが、作品を拝見していますと、言葉では何もおっしゃらなくてもその作品に対する厳しいまでのこだわりと誠実さはひしひしと伝わってきました。
ふんわりとした手触りは一本一本手で紡ぐからこそ生まれる風合いで、それを手で括り、藍で染めて手織されます。
そんな非常に手間と根気の必要な作業の積み重ねとは対照的な、おおらかなデザインも福井さんの個性のひとつです。
毎年、日本伝統工芸展でもその迫力ある作品はとても目を引き、しばらく足を止めて見入ってしまいます。
こちらは風によって砂が多彩な模様を描く様子を絣で表現された「風紋」という作品です。
流れるようなリズミカルな模様がつながって大きく波打つような配置となっていますが、段変わりの矢鱈縞のような緯糸の線が面白いアクセントとなって、全体をモダンなものとしているようです。
藍の濃淡の絣の連続がこれほどまでに芸術的に花開いて、とても華やかなお着物となっている事が不思議に思えます。
ずっと手で触れていたいような手紡ぎの木綿の風合いがいとおしく、引き込まれるような藍の色合いはとても魅力的です。
木綿ファンに限らず、手仕事の華のような素晴らしい作品をこの機会に是非ご覧ください。
1932年 鳥取県に生まれる
1952年 福井千秋氏と結婚。大姑福井かねに倉吉絣を師事
その後も創作活動を続け、地方での各賞を受賞
1987年 倉吉絣伝統工芸士第一号を県より認定される
1998年 日本工芸会正会員
2005年 鳥取県重要無形文化財保持者認定
日本工芸会でも各賞を受賞。連続入選されています。
|