紙布八寸名古屋帯 出羽の織座製
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紙布八寸名古屋帯
出羽の織座製

今回の『初夏のよそほひ』展では、自然布の帯がたくさん集まりましたのでご紹介させていただきます。
養蚕が日本各地で行われたり、どこでも木綿が育つ様になるまでは、雪深く寒い地域から湿度が高く熱い地域まで、それぞれの気候風土に合った織物が生まれ、育まれ、伝えられてきました。
特にその事に思いがめぐるのがこの季節です。
苧麻にはじまる麻、藤、科、葛など、現在では上布のお着物か名古屋帯でお目にかかる事がやっとです。
古く日本に自然発生的に生まれ、原始布とも呼ばれる織物が民間の芸術の世界にまで発展しましたが、その数は非常に少なく、現在でもそれを大切に守り、復元をつづけていらっしゃるのが出羽の織座さんです。
今回は偶然にも何種類か入荷し、ご紹介させていただきます。
こちらは緯糸には古文書の和紙をコヨリの様にしたもの、経糸には手引きの木綿を使用して手織りで織られた、裂き織に近い風合いの八寸の名古屋帯です。
おそらくこの質感から予想するに、古い文字の書いてある使われなくなった和紙を、紙子の様に少し皺を付けたり伸ばしたりして柔らかくし、それを細く切ったものをコヨリ状にして次々と繋いで長い緯糸を作ったのだと思います。
そうすると墨の文字がランダムに柄の様に現れて面白い表情になります。
それは計算して作られたデザインとは違って、偶発的に生まれる面白さです。
その緯糸の表情と経糸の手引きの木綿の節とが織り成して現れたユニークな質感は、他では見る事のない個性と言えます。
ずっと以前、30年位前でしょうか、明治期の男性用の羽織になっているものを一度手に入れた事があります。
また、やはりそのころ山口県の徳佐にお住まいで裂織りをされているお年寄りに、このタイプの糸布の帯地をいただいた事があります。 ご自分のお習字の練習で描いたものを使ったとおっしゃって、楽しそうにこんなのができましたと言って渡してくださいました。
原始布や、またこういった究極のリサイクルとも言える、物を大切にするところから始まった先人たちの知恵から生まれた芸術品に出合うと、「ああ、なんて私たちは色々な物を見過ごして贅沢な生活を送っているんだろう」と改めて感じたりします。
象牙色の和紙の奥行きのある色がとても魅力的です。
藍染めの木綿のお着物にもよく合いそうです。
愛おしんで長くお付き合いできそうな、素敵な手仕事の賜物です。
(長さ)3m77cm×(太鼓巾)31.4cm。

商品番号 o0931
紙布八寸名古屋帯 出羽の織座製
販売価格 有難うございました

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