着物　アンティーク着物　振袖　訪問着　留袖

梅と紅葉図蒔糊友禅訪問着
人間国宝　森口華弘作

今回の『深まる秋のよそほひ　逸品展』では、人間国宝である森口華弘氏の大変希少性の高い作品を何点かご紹介する事ができて嬉しく思います。
偶然なのですが、こちらもご案内状に掲載させていただいたもう1点の訪問着も、大きく弧を描いた線から広がる森口氏ならではの世界を感じられるスマートな印象の作品です。
こちらはインテリジェンスを感じられる代表的な色とも言える青鈍色の地に、細やかな蒔糊が散りばめられ、上前から露芝の様な曲線が下前に向かって弧を描き、そこに可憐な梅と菊の花、紅葉の葉が数珠繋ぎの様に並べられた図案です。
それはお花の首飾りの様でもあり、やさしい空気とどこかのどかさまで感じられる様ですが、実際にお召しになりますときりっとした素敵な緊張感に包まれる様な迫力が着物の力として感じられます。
それも森口氏作品ならではの感覚と言えるかもしれません。
これほどのお着物に手を通す時のわくわく感はやはり楽しいです。
全体的には非常に落ち着いた青鈍色に蒔糊の白い点が冴え冴えとし、まるでリズムを刻んでいる様な動きのあるものとなっていて、きっと帯次第で大変ゴージャスなフォーマルの第一礼装にも、少し抑えたセミフォーマルにも変化をつけてお召しいただける事と思います。
もう一点の作品もそうですが、ややシンプルに感じられる柄でありながら、お召しいただくとお花が咲いた様にぱっと華やいで存在感のある美しい着姿となり、さすがとまた再認識させられてしまいます。
是非一度、この機会にご覧くださいませ。
お仕立替済。
青鈍色は「#424a4c　WEB色見本　原色大辞典」をご参照下さい。