草木染手描縞小紋着尺
吉岡幸雄作
本当に不思議な事に、吉岡常雄先生・幸雄先生の作品が重なって入荷いたしましたので、ちょっと贅沢に、一気にその作品をご紹介させていただきます。
今回は草木染のお着物も2点入荷いたしました。
こちらは、どんなに世の中が変化してスピードアップを求められても、似た様なものがお手軽に手に入れる方法が他にあっても一貫して草木染にこだわられて、代々伝統の色を伝え続けられる「染司よしおか」の当代を務められ、吉岡常雄先生のご子息でもある吉岡幸男先生の作品です。
「たおやかな」という表現がぴったりの優美な雰囲気の手描き縞の小紋の着尺です。
お父様の時代から紬の生地に描かれた作品をつくられていた様ですが、一言で縞と言っても手描きでこれだけの筋を引く事はなかなかできるものではありません。
凡人では紙に書くのも無理ですし、ましてや布地となれば緊張もしますし、生地が染料を吸い取ってしまうのではじめと終わりでは随分違ったものになってしまいます。
「樹下双孔雀図」名古屋帯の四角の周りの線にも同じ事が言え、技術を要するものです。
私も個人的に吉岡幸雄先生の作品で紬地に染められたお着物を持っていますが、こちらは縮緬地に描かれていて、またまたすごい作品だなと思いました。
淡い玉子色地に丁子色と錆青磁色の筋が、手描きならではの変化のある表情豊かな縞となった華やかさのある作品です。
実際にお着物に仕立上がったらどんなに素敵か、想像するだけでわくわくします。
不思議な事に、今回ご紹介しています貝紫の名古屋帯はぴったり合います。
(私個人の好みと言えるかもしれませんが。)
玉子色は「#ffffb2 WEB色見本 原色大辞典」を、
丁子色は「#efb377 WEB色見本 原色大辞典」を、
錆青磁色は「#7e9988 WEB色見本 原色大辞典」をご参照下さい。
もう一点は吉岡常雄先生作の、石榴と阿仙で染めたこっくりとした無地の紬のお着物です。
貝紫の研究では先駆者でもあり、長年の研究から成る大きな功績を残された故・吉岡常雄先生は、大阪芸大の教授でもあった昭和40年代から、日本各地をはじめとして貝紫の記録がある場所へ出向かれ、現在ほど海外へ行く事が便利で簡単で安全ではなかった時代に地中海から南米奥地まで実際に足を運び、一大アドベンチャー的な旅を重ねて研究を続けられました。
こちらは少しだけ節の見える味わいのある質感と、草木染の特徴でもある、年数を重ねてより良い色に変わり定着した深い色とで、程良い光沢のあるものとなっている様です。
もちろんこちらも貝紫の帯とも楽しくお合わせいただけます。
草木染の魅力は、その色の育っていく変化であったり使いこなしていく過程の味わいであったりと、実際に愛着が涌くまで付き合ってみて初めてわかったりします。
また、理屈ではなく心に沁みる様な安心感に近い感覚は自然の中にあるものが持つ魅力かもしれません。
未着用品。
どちらもお洒落着でありながらも、本物が持つ醍醐味が感じられて素敵です。
当然の事ですが、実物は迫力もあり、またユーモアを感じられるゆとりのお洒落着として是非ご覧いただきたいものばかりです。
この機会に是非お立ち寄りくださいませ。
商品番号 r1038
草木染手描縞小紋着尺 吉岡常雄作
販売価格 有難うございました
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